コンテンツの底力

| | コメント(2)

 
東陽中学校の解体工事がはじまった。

昭和11年建築の木造校舎は、四方を足場に取り囲まれても、なお悠然として見える。
巨躯を横たえ、西日に脇腹を照らされている。
あっさりしたものだ、働き通したあなたは、地上に何の未練もないのだろう。

しかし、見送る側はそうはいかない。
中庭の薔薇園も消える。
渡り廊下も消える。
何もかも消える。

DSCF1751.JPG
もたいないねぇ。せめて映像に残したいねぇ、といって有志が集まり、東陽中学校は映画の舞台になった。こうして『海と夕陽と彼女の涙 ストロベリーフィールズ』が完成した。

大それた野心があったわけではない。地元での公開を成功させて、仲間でうまい酒が飲めればいいと思っていた。

 

ところが、三木和史プロデューサーの奔走が功を奏し、映画は各地で上映された。東京、大阪、名古屋、札幌、福井。


 

あろうことか、最後はカンヌ映画祭の会場にたどり着いた。おお、憧れのレッドカーペット!実行委員会のメンバーは、はしゃぐタイミングをつかみ損ねて、最後まできょとんとしたままだった。(実は現場にぼくもいた)
 
母校に撮影隊が来ることは、褒められるべきことか、たしなめられるべきことか。
いまのぼくにはわからない。ただ子供たちには、肩を落として生きるより、胸を張って生きてもらいたい。

 

目の前にあるのは、廊下がきしみ、すきま風の吹くオンボロ校舎でしかない。そこに見学者が訪れ、記念撮影をして帰って行く。痛快ではないか。そのきっかけを作ったのは、1本の映画だ。
 

ぼくたちは、映画制作を通じて、コンテンツの底力を思い知らされた。観客を動員し、DVDを販売するなど、金銭に換算できる活動以上に、参加した人々の意識が高揚し、表情が豊かになるプロセスが新鮮だった。ぼくたちは気づかされた。ふだん何気に見ている風景は、実はかけがえのない風景だったんじゃないか、と。

 
今回の『熊野古道ランドマークソング・プロジェクト』も、映画と同じプロセスをたどることになるだろう。目指すはイスタンブール!

 
このブログは、旅の実況中継でもある。

  

photo=解体工事が始まった東陽中学校の校舎(c.nagase)

 

 

 

 

コメント(2)

ナミナミ :

エビノキさんお返事ありがとうございます\(^o^)/

インベーダゲームは、私もあまり得意ではありません。
喫茶店でけっこうお金をつぎ込んだと思います。

映画「海と夕陽と彼女の涙 ストロベリーフィールズ」は、見たことないです。m(_._)m
カンヌ映画祭ってすっごいですね。機会があれば見てみたいなぁ。

私もここ川西市に暮らし始めていろいろなことを知りました。(三ツ矢サイダーは川西市で作られたなんて知らなかったし)
普段気づかずに通り過ぎている景色のなかには奥深いものがあるような気がします。

イスタンブールの実況もお願いします。

蛯乃木 :

年を取ると何を見ても驚かなくなるような気がします。

目的地ばかり見て、途中の風景を見落とすような。

ときには、そういう自分に反旗をひるがえしたくなります。

道草だらけで、いっこう前に進まない旅ですが。

長い目で見てくれると、ありがたいです。

コメントする

このブログ記事について

このページは、kiiminpoが2007年9月11日 17:54に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「ベリーダンスが流行るわけ」です。

次のブログ記事は「通学路」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。