こう見えても作曲家のはしくれである。耳には自信がある。
否、あったというべきか。最近ぼくの耳は、ぼくの支配を断ち切るそぶりを見せはじめている。
デモテープの制作で酷使した結果、反乱を決意したらしい。 いとこの結婚式でのこと。式場に「勤皇の志士」が現れるという。思い切った演出である。わくわくしながら待っていると、新郎の父が現れた。
JRで切符を買おうとしたら、自販機が奇妙なことを言う。「領収書の意味を教えて下さい」。とても一言じゃ説明できない。おろおろするぼくに、機械がくり返す。「領収書の有無をお知らせ下さい」。脅かすなよ。 MTVに目医者が出るという。視力検査でもやるのかと思ったら、ミーシャだった。 小学生は、小惑星に聞こえる。高校生は、光合成に聞こえる。日常生活に詩的世界が混入する。冷凍麺が第九を歌うというので、びっくりした。何のことはない、ベートーベンだった。 羽田からモノレールに乗り、JRに乗り換えようとしたら駅員が馬鹿なことを言う。「あまなっとー、あまなっとー」。クエスチョンマークが五つ並んだ。よくよく聞くと、「はままっちょー、はままっちょー」だった。 及川さん!早くOKを出してくれないと、ぼくの耳は壊れてしまうよ。
photo=東京の雲(恵比寿ガーデンプレイス) c.nagase
このページは、蛯乃木が2007年9月14日 14:30に書いたブログ記事です。
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