変わりゆくもの

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近所の温泉でカナミツさんと一緒になった。まことに上機嫌だった。阪神が九連勝して首位に踊り出た頃のことだ。今岡がどうとかで、打点がこうとかと浮かれていた。その後、リーグ優勝の目はなくなったが、阪神が勝つと心が華やぐではないか。


二十数年前に阪神が優勝したときも、たしかこんな感じだった。
足の裏がザワザワする感じ・・・
「あれは1984年でしたっけ?」
何を馬鹿な、という表情でカナミツさんがぼくを睨んだ。
「せん、きゅうひゃく、はちじゅう、ごねん!」と、語気を強めた。
ああそうだった。

あの頃ぼくは市ヶ谷にいた。
小さな出版社で業界紙の編集をしていた。
時はバブル前夜。
路上駐車の車がどんどん変化する。
国産車がベンツやBMWに駆逐されてゆく。
そんな光景を目の当たりにした。

あれからもう二十二年。
時代は変わったのか。どうだろう?
あまり変わらない、というのがぼくの実感だ。
皆既月食は決められた年にやってくるし、『笑っていいとも』はまだ続いている。

ただ、変わったなあ、と思うこともある
ひとつは、ミネラルウォーターを飲む習慣である。
金を出して水を買う時代が来るとは、あの頃は夢想だにしなかった。

もうひとつは、新幹線の顔である。
昭和の新幹線は、鉄人28号のような顔をしていた。
それがモスラの幼虫のような姿になり、いまではカモノハシの化け物みたいだ。

それ以外は何も変わらない。
政治家は茶番を演じ、ぼくらは毎晩のように酒を飲む。
いつもの顔ぶれ。いつもの居酒屋。
したたかに酔った頃、誰かがつぶやく。
「少しはマシな人間になりたいねぇ」
まったくだ。頷きながら、歳月ばかりが過ぎてゆく。

photo=古い看板(白浜町日置) c.nagase

コメント(2)

栗林 留美子 :

カモノハシの化け物ーーー最高ーー!爆笑アハハ^^; のりちゃんの新たな才能発見!すごいリズムカルな文章ですね。まじめにとても、文章力があると、素人の私は感銘いたしやした。また、拝見しやっす^^!

エビノキユウイチ :

ありがとー!
モダンジャズを大音量で流しながらこのブログを書いています
いつの日か、レイ・チャールズがピアノを弾くように
キイボードを打てる日が来るといいなぁ、と夢見ています

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このブログ記事について

このページは、蛯乃木が2007年10月 1日 09:48に書いたブログ記事です。

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