海辺のグレンミラー
扇が浜の堤防は、格好の遊び場所だった。
あの頃の中学生は暇だったのだろうか。
いつも、アキちゃんとおかつとがそばにいた。
グレンミラーをコピーして遊んだことを思い出す。
楽器を持たずに、口で。
サックスのパートをアキちゃんが、
トランペットのパートをぼくが、
トロンボーンのパートをおかつがそれぞれ担当した。
『イン・ザ・ムード』をくり返し演奏した。(くどいようだが、口で)
パラリラッタッタッタッタティラリラ、ティラティラティラリラーとアキちゃん。
パラララッパパーとぼく。
ボン、ボン、ボン、ボンとおかつ。
どう考えても一番派手でおいしいところをアキちゃんがひとり占めしている。
うまく言いくるめられたのだろう。
おかつとぼくは自分に与えられたパートを忠実に演奏し続けた。
そうこうするうちに日が暮れた。
あいまいな演奏をするとアキちゃんが怒るので、
家に帰ってもぼくは必死でグレンミラーをコピーした。
『ムーンライト・セレナーデ』
『真珠の首飾り』
『茶色の小瓶』などなど・・・
ステレオセットにへばりついていた。
後にこのときの経験が役に立つ日が来るとは!
音楽活動を再開することになったとき、
ぼくは理論の必要性を痛感していた。
いちから勉強しようと思った。
嫌になるくらい分厚い『バークリー・メソッド』
おそるおそる読み進むうちに、
自分の体に染み付いている音の意味が掘り起こされる体験をした。
なるほど。
こういうことだったのか・・・
ありがとう、アキちゃん。
あのときのセッションの意味がようやく理解できました。
30年も過ぎてから。
photo=扇ケ浜の防波堤(c.nagase)
The topic is quite curious, i must say