佐藤錦
シミュレーションのことを、
長い間シュミレーションだと思い込んでいた。
シミュレーションなどというと、
何かしみったれたセコい感じがするのだが、
こちらが正解だった。
自分の教養のなさが嫌になる。
「ヒットエンドラーン、ヒットエンドラーン」
と歌いながらどこかに消えてしまいたくなった。
そういえば昔、
白浜のホテルの通用口で面白い貼り紙を見たことがある。
文字は墨の太字。
おそらく不正行為が発覚したのだろう。
納入業者に対する禁止事項が列挙されていた。
検品を受けろとか、
伝票を残せとか、
金品の授受をするなとか、
怒りのこもった文字がならんでいた。
とくに末尾の一行がすごかった。
「これらに違反をした者はテナルティを科す」
思いきりここで力が抜けた。
テナルティか。
TNT爆弾みたいである意味怖いが。
近所のイタリアンでランチを食べた。
ここのシェフは研究熱心で頼もしい。
サラダを並べながらこう言った。
「今日はサニレタ(サニーレタスの略称)が固かったんで山田錦を入れました。」
びっくりした。
ライスサラダでも出てきたのかと思ったら、
さくらんぼがちょこんと乗っていた。
佐藤錦だった。
photo=熊野古道沿いの景色(田辺市中辺路町高原) c.nagase
昔、田高の下にあった(いまでもあるのかな?)○○食堂のメニューには、焼きそばトリブルと書いてありました。
シングル、ダブルとくればトリブルにしたい気持ちもわかります。
その隣の食堂にあった自転車の空気入れには食堂名のそばに「全高下」と書いてありました。「田高下」のつもりだったのでしょうが…。
久しぶりに会った先輩と話していたときのこと。
「ワタナベさんは若い頃植物的でしたね」
と言ったら、
「即物的!?」
と聞き返されたことがあります。
そんなこと心で思っても口に出せないよねぇ。
ぼくもしょっちゅう聞きまちがいをします。
「好印象」と「後遺症」なんて朝飯前。
一度「三十代」と「缶チューハイ」の区別がつかなくなったことがあります。
これはシュールな出来事でした。
入れ替わっても会話が成立するのですね、なぜか。
シミュレーション・コミュニケーションあたりまでは知ったかぶりな態度を保持できますが、アタッシュケースがアタッシェケースであると聞いた時には地殻の変動を感じました。
頭の中の思い込みをパソコンのウイルスチェックのようにを総点検したいものです。
アタッシェケース!
嘘だろうと思い検索したらやっぱり「アタッシェケース」が正解でした。
シュノーケルがシェノーケルになったり、
スプラッシュマウンテンがスプラッシェマウンテンになったようなヘンな感じです。
思い込みってあるものですね。
ああ恥ずかしい。
「ヒットエンドラ~ン、ヒットエンドラ~ン」
と歌いたくなってきました。