即筋力
甥のユウトが腕立て伏せに熱中している。
10回やっては力こぶをつくり、
その固さをたしかめる。
納得がいかないらしく、
首をかしげてまた腕立て伏せにもどる。
これを何度もくり返している。
アホではなかろうか。
そんなに早く筋肉が付くわけないのに。
ところが今年50歳になるおじも似たようなことをやっていたりする。
ジムに行く。
マシンで汗を流したあと、
必ず腹筋運動をする。
腹筋板を急傾斜にし、
ロッキーみたいに体を持ち上げる。
1セット15回、
セットが終わるたび下腹をさわっている自分に気がついた。
そんなに早く体脂肪が消えてなくなるわけがない。
ぼくの精神年齢は、
ユウトの年代で止まってしまったのだろうか。
小学5年生のあたりで。
photo=噴水(c.nagase)
笑っちゃうのですが、
僕は若いころ水泳をやっていて、けっこうなムキムキマンでした。
腕立てとか背筋、懸垂はいくらでもできる感じでした。
風呂上がりに鏡の前で、胸の筋肉をぷりぷりさせて喜んでいました。
毎日続ければ、そうなるのです。
甥っ子さんに伝えてください。
ただ、熟年になってからの努力は報われるか知りません。
これはしたり!
紫竹さんがムキムキマンだったとは!
ジムに通っていると、
男女を問わず肉体美の持ち主に出会います。
かれらの努力を見ていると頭が下がります。
誰も見ていないところで、
自分自身と闘っているのですね。
肉体美への憧れは、
造形的な美しさもさることながら、
これを維持する意思に対する畏怖が大きいと思います。
早く鏡の前でポーズを作るようになりたいのですが、
なかなか変化のきざしが現れません。
若い頃からジタラクな生活をしてきたので、
筋肉の中からそういう遺伝子が消えてしまったのかもしれません。
無精卵を温めているみたいで、
時々空しくなります。
いえいえ、空しいのではありません。
そのころ僕の彼女はみずえちゃんと言いました。
みずえちゃんがある日言いました。
「○○君、将来はどんな人になりたいの」
「うん、50になっても腹の出ない男になりたい」
「えー、それだけなの」
「うん」
そして35年がたち、見渡すと腹のでた男ばかり。
ざまあみろといいたい。
胸の筋肉はなくなりましたが、腹はまだ出ていないのです。
腹が出ているかどうかは、
キャバクラ的には大問題です。
「顔はどうにもならんが、
腹ならどうにかなる」
と牛尾画伯は言いました。
この精神を見習いたいと思います。