アヤソフィア大聖堂
スルタンアフメット地区には、
ブルーモスクと、
アヤソフィア大聖堂と、
トプカプ宮殿がどかんどかんと並んでいました。
ちょうど神宮外苑に、
ラグビー場と、
野球場と、
国立競技場が仲良く並んでいる感じ。(ちがうか?)
ブルーモスクを出た足で、
ぼくたちはアヤソフィア大聖堂を訪ねました。
世界遺産のハシゴです。
アヤソフィアはもともと東ローマ帝国の教会でした。
それをオスマン・トルコが接収し、
ミナレット(尖塔)を配してモスクに改築、
トルコの近代化とともに博物館として公開されるようになりました。
高さ40メートルを超えるドームは、
現代の感覚でいうと13階建てのビルに匹敵します。
建設されたのは6世紀のこと。
日本でいう古墳時代ですから驚きです。
外観の威容もさることながら、
内部の装飾の美しさにぼくはすっかり心を奪われました。
何と教会時代のモザイク画が残されているのです。
写真はドームの天井に描かれた「聖母子像」
オスマン帝国の首都で、
まさか中世キリスト教美術に対面できるとは!
1453年、
コンスタンティノーブル(現イスタンブール)を陥落させたオスマン帝国は、
アヤソフィアに残るイエスやマリアの像(モザイク画)を剥離せず、
漆喰で塗りこめるにとどめました。
さまざまな解釈の余地はあるにせよ、
ぼくはそこに異教徒の文化に対するやさしさを見ます。
美に対する畏敬の念を感じます。
話は少しそれるのですが、
串本町の友好都市、
メルシン市の郊外で聖パウロの生誕地を見たときも同じ感動がありました。
異教徒の聖者の生誕地を保存し、
観光資源としていたのです。
何という大らかさ。
ぼくたちはイスラム教徒に対して、
誤った先入観を植えつけられているような気がします。
ハリウッド映画はその最たるもの。
冒険活劇の敵役の姿を借りて、
怪しく不気味なイスラム教徒のイメージを刷り込んでくる。
これはフェアではないなあ、
と今回の旅を通して感じた次第。
ハリウッドのやり方は、
例えていうならば、
異教徒の遺物に刃物を当てるようなものです。
それはいかがなものかと、
「聖母子像」のまばゆさを見上げながら、
たまには真面目なことを考えました。
photo=蛯乃木ユウイチ