トルココーヒー
明けて三日目は移動日です。
この日は日曜日ということもあって公式行事を入れられず、
旅程の中でもっとものんびりした一日になりました。
アンカラというのは殺風景な街で、
あまり見て回るものはないのですね。
午前中「アタチュルク独立戦争博物館」と「アナトリア文明博物館」を見て終り。
遊び場の少ない、
堅物の街でした。
それでも「独立戦争博物館」はぼくには面白かった。
建国の父ムスタファ・アタチュルク(ケマル・パシャ)の肖像写真が年代順に展示されているのですが、
実にいい顔をしています。
風雪に鍛え上げられて引き締まり、
弓を離れた矢のような意志の強さが伝わってくる。
オスマン帝国を倒し、
大統領に就任する頃の写真など、
瞳が発光しています。
イヌやネコとちがい、
人間は眼底発光しないといわれていますが、
アタチュルクの写真を見ていると
それもアテにならないと思えてきます。
今こんな瞳の持ち主というと、
日本では中島美嘉くらいかなあ。
アタチュルクは、
日本の明治維新に範を求め、
独立戦争を戦い抜いたといいます。
大河ドラマ『篤姫』の時代、
日本の男たちもこんな目をしていたのでしょうね、きっと。
昼食はアンカラ城塞に隣接するレストラン。
アンカラ全市を見下ろす眺望のよさ。
この店ではじめてトルココーヒーを飲みました。
これがまたけったいな飲み物で、
メンバーの意見がまっぷたつ。
ひとくちすすっただけで顔をしかめ、
二度と口をつけないメンバーも。
トルココーヒーというのは、
深入りのコーヒー豆(粉末)を水で煮出してろ過をせず、
カップの上澄みだけを飲むのです。
この上澄みが奇妙に泡立っており、
慣れない目にはコーヒー豆が泥濘化したようにも見える。
成分を完全に抽出しきった液体は、
光を閉じ込めた重力場のような味がする。
だからいいとか悪いとか、
メンバー同士がやがやと議論するのは楽しいものでした。
三日もたつと、
水と油と界面活性剤が混じり合って、
ほどよくこなれてくるのですね。
photo=上から
「アタチュルク廟の国旗」
「アンカラ城砦」
「レストランから見たアンカラ市街」
by 蛯乃木ユウイチ