クレオパトラの門
メルシンでの公式行事が終り、
5日目はイスタンブールへの移動です。
今日は比較的時間にゆとりがあるので、
観光を入れてほしいという声が上がりました。
アダナ空港に向かう道すがら、
タルススという古い街があると聞き、
そこでケバブ(焼肉のサンドイッチ)を食べて、
飛行機に乗ることになりました。
この旅で見えてきたことは、
奇妙な言い方になるのですが、
オスマン帝国時代を含めて、
トルコは新しい国だなあという印象です。
そう思えるくらい古い遺跡が数多く残されているのです。
ギリシア、
ヘレニズム、
古代ローマと、
さまざまな遺産が無造作にならび、
天井のない博物館にいるような気がします。
紀元前の道路や建築が、
児童公園みたいに点在するのですから。
どでかい路線バスが幹線道路をそれ、
にぎやかな市街に進入し、
最初に止まった場所、
そこに「クレオパトラの門」がありました。
古代都市タルススの扉は、
広い並木道の突き当たりにあり、
さんさんと降り注ぐ陽光を浴びていました。
ガイドブックには、
こう記されています。
「紀元前44年にジュリアス・シーザーが暗殺されたあと、
後継者のひとりアントニーはアナトリア(トルコ東部)に向かい、
エジプト女王おクレオパトラと協定を結びました。
このアンティークの門は、
クレオパトラの門と呼ばれています。
アントニーがクレオパトラに、
ここで初めて会ったからです」(メルシンの広報紙から抜粋)
くずれ落ちかけた石のアーチは、
戯曲や映画で有名な『アントニーとクレオパトラ』の舞台でした。
二人はここで恋に落ち、
クレオパトラに溺れたアントニーは身を滅ぼし、
クレオパトラもまた自死を選ぶことになる悲劇は、
ここタルススで幕を上げたのです。
舞台に役者の姿はなく、
装置の一部が取り残されただけ。
それでもさびれた印象を与えないのは、
地中海の太陽がよほどまぶしいということでしょうか。
photo=クレオパトラの門(蛯乃木ユウイチ)